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2025.03.15

「プリンツ・オイゲン この夜に酔いしれ」のクリエイター陣を直撃!言葉にし尽くせない想いも形に――

2月14日(金)から受注が開始されたPONY CANYON FIGUREの新作「プリンツ・オイゲン この夜に酔いしれ」。大人気アプリゲーム『アズールレーン』から、ミステリアスな雰囲気と大人の色香を漂わせる鉄血の重巡洋艦「プリンツ・オイゲン」をフィギュア化したものだ。同フィギュアを手掛けたピンポイント所属のこば酸(原型師)、田中しあん(彩色者)、t2y(彩色ディレクター)にインタビューを敢行!一切の妥協を許さないクリエイター陣のフィギュアに対する深い情熱とこだわりをお届けする。

■プリンツ・オイゲンの魅力を余すことなく表現!クリエイターがこだわりポイントを明かす

――「プリンツ・オイゲン この夜に酔いしれ」の原画イラストをフィギュア化するにあたり、原型師として、彩色担当として、それぞれプリンツ・オイゲンの魅力をどうとらえ、どのように表現しようと思われましたか?

こば酸 原型師の観点から言うと、大人の女性らしいセクシーな雰囲気を漂わせつつも、子どものようないたずら心、無邪気さを持っているように感じられるのがプリンツ・オイゲンの魅力だなと個人的には解釈しておりまして。目線にしても表情にしても、そういったことを原型データ作りの段階から意識して作成しました。
t2y 僕はもともと『アズールレーン』のゲームをプレイしていて、プリンツ・オイゲンに対して“強い女性”のイメージを抱いていたんですね。なので、極端にかわいく見えないように、衣装に関して本物の衣装のようなリアリティをちゃんと持たせられるように、実際に色を塗る田中くんにはこういう色を作ってほしい、ということを常に口に出して作業してもらいました。
田中 「プリンツ・オイゲン この夜に酔いしれ」のイラストがかなり上品でシックなイメージだったので、t2yさんからいただいたアドバイスを受けつつ、しっかりと上品にまとめるということに重きを置いて彩色していきました。

――今作で、それぞれに最もこだわった部分を教えてください。

こば酸 原型師としてまずこだわったのは、身体の肉感表現ですね。引き締まりつつもお肉の柔らかさがある、そういう女性らしさを表現できるように、だいぶこだわりました。あとはお顔ですね。原型が仕上がるとそのままノンストップで色塗りまで進むことがほとんどなんですけど、今回は企画担当者の方と相談しながら、彩色後に原型データから修正してやり直して、最後の最後まで調整を重ねました。
田中 顔に関しては2回塗ることになったのですが、2回目は前回とは違う色の塗り方をしてみたりとかして。さらにクオリティを上げることができたと思います。
t2y より仕上がったよね。目線に関しても、ちゃんと目が合う角度のときにより顔がしっかり見えるようにブラッシュアップできました。肉感にしても、わりとスレンダー寄りというか、無駄なお肉がない筋肉質な印象もあるけど、あまりムキムキにならずちょうどいい肉づきになっているっていうところも見せ場になっていると思います。肩甲骨あたりの筋も出ていたりとかして、カッコいいところもありつつ、かわいくて適度にセクシーっていう、大人な感じに仕上げることができました。

――ニーハイストッキングと肌との境目の肉感表現もリアリティがありますよね。
こば酸 ドレスと肌の境目にしてもそうなんですけど、布の上にのったお肉の柔らかさも、普段から原型をつくるときに意識しているところなんです。
t2y そうやって本当に生地の上にちょっとお肉がのっかっているように表現する、できるっていうところがフィギュアのおもしろいところだし、そういう境目にはとても夢がありますよね(笑)。彩色チームとしては、シルバーがキラッと光るベルトのバックル部分とか、衣装の脇腹部分のシルクのような質感とか、本物っぽさがうまく表現できたと思います。あと、ニーハイストッキングの透け感も頑張りました。
田中 パっと見は黒いんですけど、最初は肌色を塗っていて、その上からちょっとずつちょっとずつ黒を吹いていくと、リアルなニーハイストッキングっぽくなるんです。
t2y 塗りながら履かせていくというかね。
こば酸 ストッキングの透け感は、僕としても特にこだわってほしかった部分で。t2yとは付き合いが長いので、もう信頼しきっているし特に問題はないと思っていたんですけど、t2yと田中くんでしっかりうまく表現してくれました。あと、胸の部分の透け感は脚の透け感と違った表現になっていて、そこも素敵に塗ってもらえたなと思います。
t2y 商品化にあたって、たとえば薄いパーツを胸元にかぶせて表現する手段もあるんですけど、今回は薄い塗膜でシースルーを表現することでよりリアルに見せたくて。あと、肌色があまり鮮やかじゃないのもプリンツ・オイゲンの特徴かなと思ったので……。
田中 肌色の色合いにもすごくこだわりましたね。
t2y あまり鮮やかだと活発なかわいいキャラに見えてしまうので、白めの落ち着いた肌色で、大人っぽい肌の色にしたいなと。田中くんがすごくいい肌の色にしてくれたと思います。
こば酸 うんうん。もちろん、造形だけでもしっかり見えるようにはしようと思ってはいるんですけど、やっぱり色を塗ってさらに際立たせてもらえるな、彩色チームと一緒に作り上げられたな、ということは改めて感じました。

■原型師から彩色者へ渡されたバトン!妥協なく突き詰めたチームの結束力

――では、原型師としてこば酸さんがイラストを立体化するのに苦戦した部分や大変だった部分はありますか?

こば酸 「プリンツ・オイゲン この夜に酔いしれ」の原画イラストはバーカウンターにもたれかかるような、腰かけるようなポーズをしているんですけど、今回はバーカウンターをつけない仕様なので、自立できてなおかつイラストのイメージから離れないようなポーズを成立させるっていうのが難しかったです。途中段階で何度か調整を繰り返しました。
田中 イラストのイメージを崩さずに立たせて成立させているって、普通にすごいことだなと。こば酸さんの原型師パワーを感じました。
t2y 本当に。違和感なく作ってもらってすごいなと思ったし、彩色チームとしてはうまくバトンタッチができなきゃいけないなと身が引き締まりました。

――彩色の構成や方向性決め、実際に彩色する上でt2yさん、田中さんが苦戦した部分はありますか?
t2y 自分はディレクションで直接塗らない立場なんですけど、田中くんがすんなり雰囲気を掴んだ色をアウトプットしてくれたおかげで、指示出しでの苦労は意外となかったように思います。ただ、先ほど話に出たストッキングと胸元のシースルーの部分、そこは監修の過程で色味に関しての指摘があったんですよ。黒色の吹き加減をどうするか、その試行錯誤は一番苦労したところです。
田中 シースルーの表現は自分の経験上あまりしたことがなかったので、テストパーツを使って何個か作ってみたりしながら、これぐらいの色味でいこうというのを掴んでいって。
こば酸 10パターンぐらい透け具合みたいなのを検証してもらってね。この色味に辿り着くまで大変だっただろうなと思います。
田中 作業者目線だとどうしても視野が狭まって正解がわからなくなりそうにもなるんですけど、そういうときはt2yさんやこば酸さんに助けを求めて導いてもらえました。
こば酸 自分は原型師なんですけど、わりと彩色に関するディレクションをするときもあるし、作り手目線からも意見させてもらいました。
t2y チームとして、妥協なく突き詰められましたよね。

――表情、ボディ造形、ドレスや銀髪など細部までこだわり抜き、クールでミステリアス、しっとりとした大人な女性の魅力を堪能できる「プリンツ・オイゲン この夜に酔いしれ」。それぞれの観点で、改めて完成品の魅力を言葉にするなら?

こば酸 クールでミステリアスな中に無邪気さを感じられるような、プリンツ・オイゲンらしさを感じていただけるフィギュアになっていると思います。
t2y 言葉にし尽くせない想いは、たっぷり詰め込めました。僕としては、手に取った方が思わず踏まれたいなという気持ちになって、プリンツ・オイゲンの声をあてていらっしゃる佐倉綾音さんの声が聞こえてきたら成功だなと思っております(笑)。
田中 プリンツ・オイゲンが目の前にいるように感じられるフィギュアを全員で目指して作りました。実物を360度いろんな方向から見ていただけると、宣材写真ではわからない魅力も感じていただけると思います。
こば酸 宣材写真で見えないようなあんなところやこんなところにもしっかりこだわっていますので、ぜひお手に取ってじっくり堪能していただけると嬉しいです。

ライター/杉江優花

Profile
原型師:こば酸(ピンポイント)
男性/女性キャラクター共にオールジャンルの原型制作を手掛ける。過去には、PONY CANYON FIGUREから発売された『ドールズフロントライン』UKM-2000 サイダー物語 1/7スケールフィギュアの原型制作を担当。現在はピンポイント社内3D造形チームのディレクターも兼業している。

彩色者:田中しあん(ピンポイント)
彩色師歴3年目。過去には、PONY CANYON FIGUREから発売された『進撃の巨人』人類最強の兵士 リヴァイの彩色を担当。現在はピンポイント内で美少女フィギュアをメインに彩色を行っている。

彩色ディレクター:t2y(ピンポイント)
男性/女性キャラクターのスケールフィギュア全般からメカもの、モンスター、マスコットキャラクターまで幅広いジャンルの彩色を手掛ける。現在はピンポイント彩色チームのリーダとして、さまざまなフィギュアの彩色ディレクションを担当。

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